ゆくらかな平成貳拾七年の暮れに
ゆくらかな⋯と言う表題の舞台をもって
平成二十七年を締め括る事と相成りました。
ゆくらかとは“ゆったりとした”と言う意味ですが
実は逆の”心落ち着かず 揺れ動く”と言う意味合いもあるのです。
芸能生活50周年が今、暮れ行く時に、心底より思い入るのは
只々 皆様からの恩恵への感謝の気持であります。
真に有り難うございました。
これを機会に もうひとつ、道を探してみなくてはと
皐月の公演後に つらつらと思いまして⋯。
そして「そこから”ゆくらかな年”が始じまったのです。
音楽は日々 風に吹かれて移り変ります。
言葉も新しい生命を生み続けます。
そして 歌は・歌手は置いてきぼりです。
時代がそれを繰り返して、また新しい文化が生れて行く、と言われるなら
『あ、⋯あの頃もそうだった⋯」と走り続けた道を振り返り
溜息と苦笑いで、心も落ちつかず 揺れ動いてしまうのです。
そしてこの半年、自身の言の葉と 自身の歌、世代の歴史と世代の音楽を
もう一度 反芻してみて、この道の続きを見付けようとして来ました。
そうです。 まだ学びです。
職人の道は まだまだです。
何卒、平成二十八年の 新たな「あっ、そうか⋯」に
期待して見守って頂きますよう、御願い申し上げます。
平成二十七年 季冬
布施明 拝