霜月考
裏山の楓や蔦の葉が輝く如く美事に色付き、
暫し秋雨に煙った裏富士の都留文化センターで、
秋のライブツアーの楽日を迎えました。
私らしいくはね>と、心密かに悦に入っておりました。
このショーケースは来年まで、そっと眠りに付きます。
最近はちょっとテレビ出演も少ないので、
ゆっくりChristmasの showなどを考えたり、
小説
久し振りの人と食事をしたりしております。
悔しくて、哀しくて、神様にさえにも愚痴の一つも
こぼしたくなるような年でありました。
今回のライブで、父が戦後を引き摺って生を全うしたように、
私達も災後を引き摺って生きて、忘れる事なく寄り添って行こう・
なんて感情のままに訴えて来ました。
ところが今日、数年前に逝った友人の命日だったと言う事をふと思い出したのです。
「お前の事は忘れないぞ〜」なんて御遺族の前で涙した事さえも、
遥か遠い昔の一頁になってしまっている事に気が付いたのです。
「忘れた訳じゃあないよ!生ある限り、
何とか必死こいて俺達も生き続けなくてはならないんだよ!」
なんて天に向かって言い訳を言う体。あ、無情!でも現実です。
ある時偶然でしょうが、向かいの帝国ホテルに宿泊していたのでしょう。
亡きマーゴ・ヘミングウェイが来場して、
客席の最後列で最後まで聴いてくれていたそうです。
そのマーゴの祖父へミングウェイの言葉で
「それをやりに俺は生まれてきた。その事だけを考えればいい」
と言うのがあります。自から死を選択した彼と、
薬物依存で亡くなったと言われているマーゴに勿論、賛美は贈れないが、
彼の言葉の最初のくそれ>が解らなければ、
探せば良い色々な道を探す努力をすれば良いのでは無いでしょうか。
「人の世には道は一つという事はない。道は百も千もある!」ってね。
走って行く事はない。きょろきょろしながら、ゆっくり歩いて行けば良いのです。
生きなくてはならない!そんな当たり前で儚い事に気が付いた年でありました。
布施明