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一期一会

平成27年 秋から28年春までの恒例の秋春コンサート・ツアー、
今年は晩夏のスタートになりました。
母の命日を済ませ、翌日に舞台稽古をして、
8月29日に東京・葛飾シンフォニー・ホールから始じまる約半年間のツアーです。
5月の50周年記念ライブの山を越え、6月のトーク&ライブの河を渡って、
また、果て無き大地を歩るき出します。
梅雨時に ジャズ・ツアーの仕度をしながらふと目に付いた
新聞のコラムの内容に心ひかれた一文。
平安末期の後白河法皇が編者となられた歌謡集の中に、
『こえの技の儚さは、ものを彫り刻んだり、書き残したりするものと異なり
この身が亡べば 共に消えてしまう」と嘆いているのです。
今様の歌を好み、歌をうたいすぎて
3度も喉をつぶしたと言う法皇の口伝集の事は、徒然草にも出て来るそうです。
録音・録画が自在な現代でも同じような気がしませんか。
ライブは一期一会の儚い夢路。
だからこそ、その場に居た人、聞き手の皆様にも、作り出す演者にとっても
うたかたの夢のような思い出となって心に残り、
そして消えて行けば良し、と思ったのです。
そんな、あなただけに届け、持って居て欲しい
ライブにしたいと思っているのですが⋯

平成27年文月
布施明拝